久しぶりの更新ですが今回は4月から大学に進学してはじめて自分のPCを持つという方も多いと思いますので大学生がPCを選ぶときということで少し私見を書いてみようと思います。
なぜこのテーマにしたかと言いますとうちの長男もこの春に無事に大学に進学することになりました。今までもPCは持っていたのですがやはり使いやすい新しいPCを入学祝いも兼ねて買う事にしました。その時のやりとりやこの時期になると友人などからお子さんの大学進学に伴ってPC購入の相談が何度かあったことも思い出しお困りの方もいるであろうと記事を書くことにしました。
使い勝手、性能などのバランスを取りながらコストパフォーマンスの高いPCをご紹介したいと思います。
金に糸目は付けねぇぜ、高いPCはそれなりに性能も良いんだろう?って方は間違いではありませんのでこれ以降の記事は蛇足になりますw
非常に長文ですのでいいからどのPCが良いのか結論だけでも先に知りたいという方はこちらをクリックしてください。 → 2022年春 大学生におすすめのパソコン
さて、多くの大学ではPCが必須となっておりご自分で用意する場合も少なくありません。大学によっては性能や使い勝手を統一するために同じPCを在学中に貸与する場合もあります。この場合は考える必要はありませんが自分で購入する場合にどの程度のPCをどれくらいの予算で購入すれば良いか悩むかもしれません。いくつかポイントを解説します。
まず、OSの種類で選びます。OSとは基本ソフトと呼ばれるものでPCの操作全般に関わる重要なプログラムです。PCのOSは市販のものですと大きく3種類に分けられます。
Windows:マイクロソフト社が作成してるOSで現在最も普及している。
MacOS:アップル社が作成しているOSでスタイリッシュで大学生に人気。
ChromeOS:Google社が作成しているOSでLinuxをベースとした格安PCに搭載されている。
どのOSを選ぶかですが大学から指定がない場合Windowsの一択です。iPhoneやiPadを使っているからという理由やなんとなくカッコいいからでMacを選ぶと多くの場合苦労します。デザイン系や医療系など特定の分野ではMacが推奨される場合もありますが、それ以外ではiPhoneのアプリを開発するなど特殊な要件がない限りは選ばない方が良いでしょう。ChromeOSも技術や知識に自信があれば選択肢のひとつですがはじめて買うPCだとすると気軽に色々な人に相談できるもっとも普及しているWindowsが無難だと思います。
現在販売されているWindowsは大きく分けて2種類あります。Windows10(以下Win10)とWindows11(Win11)です。この他にそれぞれにProバージョンというものがありますがここでは単にWin10とWin11の比較で考えます。
現在、最新のOSはWin11ですが発売から半年くらいしか経っていませんのでまだ触れたことが無い方も多いと思います。慣れているWin10を使い続けたい気持ちは分かりますが特に大学から指定されない限りはWin11の選択をおすすめします。Win11はWin10に比べてセキュリティが高度化しているなどの理由もありますがWin10のサポート期限は諸説ありますが最も早い予想ですと2025年10月となっています。今年入学の1年生が4年生となり卒業論文の最終仕上げに向かう頃にサポートが切れる可能性があるというのは考慮すべき点だと思います。操作性も今はWin10とWin11で大きく変わることはありませんが、将来的なアップデートで大幅に変わることもあり得るのでその都度慣れる意味でも最新のWin11を選択する方が良いと思います。
次に形状ですが持ち運びすることを考えるとノートPCか2in1と呼ばれるタブレットにもなる形状が選択肢だと思います。ここでのおすすめはノートPCです。2in1はタブレットにもなるので便利に思えますがタッチパネルは通常の操作では意外に使いにくいことも少なくありません。さらにキーボードが貧弱なケースが多いので文字入力を多く行うような作業には向かないと思います。もちろん慣れもありますので2in1を否定するものではありませんが一般に同じ性能であればノートPCよりも2in1の方が割高になるので費用面からもノートPCが良いと思います。
次に画面サイズですが13~15インチが中心になると思います。少しでも軽いことを考えると13インチが良いですが、画面が大きい方が操作がしやすいということであれば15インチも選択です。ただ、画面解像度(画面の精細さ)が変わらなければ13インチでも表示できる内容は同じになります。小さい画面だと文字などが小さく表示されるので老眼にはきついですが、若い人には問題ないかもしれません。バランスで中間の14インチという選択も良いと思います。
次にCPUの性能ですがCPUは人間で言えば頭脳に相当する重要な部品です。計算速度などはこのCPUの性能によって決まります。メーカーはIntelとAMDが主流です。Intelのシリーズでいえば11世代以降のCore i5~i7が良いと思います。AMDではRyzen5~7であれば通常の処理では問題ないと思います。CPUの性能は値段とかなり相関があるので良ければそれだけ本体価格も一般に高くなります。ただ、上記以下の性能ですと大学4年間を使うことを前提にした場合上級生になったときに不満が出る可能性があります。CPUの性能は様々な指標がありますので性能表を見ただけでは分かりにくいこともあると思います。そこでCPUの総合性能を数値化するCPUスコアというものがあります。これも万能ではありませんがひとつの指標になると思います。CPUスコアは以下で確認することができます。
CPUスコアの目安としては現時点では10,000以上あれば大抵の場合十分です。CGや映像編集など負荷の掛かる作業をしないのであれば5,000くらいでも大丈夫だと思いますが、可能であれば文系の学生でも7,000くらいのスコアがあるCPUを選ぶと良いと思います。
次にメモリの容量ですがメモリは主記憶装置と呼ばれ作業場所のことです。作業場所が広ければ快適に作業できるイメージです。可能であれば大容量のメモリが理想ですが通常の作業であれば8GBくらいあれば大丈夫です。余裕があれば16GBにするとより良いと思います。メモリの増設が簡単にできるノートPCも多いので8GBのメモリのPCを買って、不足を感じれば16GBにアップするというのも方法です。この際にメモリスロットの空きを確認しておくと無駄な支出を抑えられます。メモリスロットが空いていれば8GBに新しく8GBのメモリを増設することが可能です。メモリスロットに空きがない場合には搭載されている8GBを外して16GBのメモリを搭載する事になります。8GBが4GB×2で構成されている場合には8GBメモリを2枚購入するなどの方法が考えられます。
次に考えるのはストレージの容量です。ストレージとはファイルなどの保存場所のことでメモリを作業場所とすればストレージは倉庫に相当します。今まではストレージにハードディスク(HDD)が利用されて来ましたが、最近ではより高速で壊れにくいとされるSSDが採用されるケースが増えています。HDDは安価で容量が大きくできる特徴がありますが前述のとおりSSDに比べ遅い上に壊れやすいと言う欠点があります。ノートPCは持ち運びが前提ですので可動部品のあるHDDよりもSSDの方が壊れる可能性が低いと思います。容量はHDDに比べると少ないですが常に大きな容量を確保しなければならない場合は多くないと思いますので256GBでも大丈夫だと思いますが可能であれば512GB以上のSSDが良いと思います。
PCの初心者の方に多いのがこのメモリとストレージの違いについての誤解です。PCの速度が遅いのはファイルがたくさんあるからだと思って一生懸命ファイルを削除される方がいらっしゃいますがストレージの残り容量はPCの速度はそれほど大きく影響しません。それよりもHDDをSSDに替えた方が効果的に速度を上げられます。また、メモリを大容量にすると高速化されるというのはある程度の効果はありますがWordやExcelなどのOffice系ソフトやホームページの閲覧、メールの送受信と言った基本機能を中心に使う場合には大きなメモリによる体感的な速度向上は見られないと思います。メモリは足りなくなるとストレージに対して一時的に場所を借りることがあります。これを仮想記憶と呼びますがOSが自動で行うので普通は意識する必要がありません。この仮想記憶は速度を犠牲にしてメモリ容量を確保する技術ですので小さなメモリで慢性的に不足気味な場合には仮想記憶への依存度が高くなり速度は低下します。逆に現在4GBを使っているときに8GBの容量のメモリを積んでいたとすると使用率は50%となり余裕があります。これを16GBのメモリで運用しても使用率が25%に低下するだけで既に十分なメモリがあるので大きな速度向上には繋がりません。(厳密にはOSなどでのメモリの使用効率向上により若干の速度向上は見られますが多くの場合は体感できるほど高速化しません。)
最後にソフトウェアについても触れて置きたいと思います。多くの場合WordやExcelなどのいわゆるMS-Officeと呼ばれるソフトウェア群を利用すると思います。これらがPC購入時にインストールされた状態、もしくはインストールする権利を持った状態で販売されているPCも多く存在します。多くの大学ではマイクロソフトと包括契約を結んで在学中はMS-Officeを無償で利用できるようにしていると思います。すなわち最初からインストールされた状態である必要はないということです。(いわゆるオフィス付きでなくて良いという事です。)ただ、前述のようにMS-Officeを大学で利用できるということが分かっている場合に限ります。MS-Officeは単体で購入すると30,000円以上しますので大学で包括契約していない場合にはインストール済のものを購入した方がお得になる場合が多いと思います。(同じPCでMS-Officeの搭載可否での価格差は25,000円前後ですから別買いするより若干安くなります。)
メーカーについてのご質問も良くありますが基本的にWindowsであればどこでも大差はないと思います。もちろん使っている部品の信頼性やサポートの手厚さによる違いはあると思います。ただ、国内メーカーもその生産工場の多くは海外にあり海外メーカーに生産委託している場合も少なくありませんので大きな差にはならないと思います。メーカーサポートが手厚いに越したことはありませんがPCに詳しい友人を一人持っていれば事足りる場合も多いと思います。
さて、今度はどこで買うかですが大学生協という手があります。推奨PCは大学で求めるスペックを満たしているはずですので安心感があります。それに学内での販売ですのでサポートが受けられやすいというのもメリットだと思います。ただ、一般に割高感があります。大学生協は安いという思い込みがありますが市場価格で競争している小売店と一定数の購入が見込める大学生協とでは価格競争の概念が異なります。例えばうちの息子の大学ではマイクロソフトのSurface Pro 7とPro 8が推奨されていましたがPro 8は20万円近い価格です。上記のCPU、メモリ、ストレージなどの各要件で同程度の性能のPCを他メーカーで探せば安いものでは5万円くらいからあると思います。(それに私は2in1はおすすめしていませんのでそもそもSurfaceは候補になりません。カッコいいですけどね。)
最悪なのは何の知識も持たずに家電量販店で店員の言うままに購入する場合です。量販店では使いやすいPCではなく儲かるPCを売りたがります。一応、ニーズは聞いてくれますが、こちらに知識がないと分かればより高価で利幅の大きい商品をすすめるのは営業の基本です。量販店で買う事を否定するものではありませんが十分な知識を持って実機を見比べられるという長所を最大限生かして購入することをおすすめします。
非常に長くなりましたが結局どこのどのPCが良いの?という事になると思いますので現時点での推奨PCをいくつか挙げておきます。
メーカー | DELL |
商品名 | New Inspiron 14 AMD プレミアム |
画面サイズ | 14インチ |
OS | Windows11 |
CPU | AMD Ryzen™ 5 5625U |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 256GB(SSD) |
価格 | 65,435円(メーカー直販、税込み、送料込み 2022/3/15時点) |
販売先 | メーカー直販 |
DELLというメーカーに苦手意識がなければコストパフォーマンスの高いPCだと思います。メモリが8GBと少なめですが空きスロットがあるので必要であれば追加することも可能です。
メーカー | Lenovo |
商品名 | IdeaPad Slim 550 |
画面サイズ | 14インチ |
OS | Windows11 |
CPU | AMD Ryzen™ 5 5500U |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 256GB(SSD) |
価格 | 63,800円(メーカー直販、税込み、送料込み 2022/3/15時点) |
販売先 | メーカー直販 |
前述のDELL製とほぼ同じスペックです。CPUは若干DELL製が優れています。メモリの増設ができないタイプですが数千円安いです。ちなみにNECおよび富士通のPCはLenovo傘下で生産されています。
メーカー | dynabook |
商品名 | SZ/LUB |
画面サイズ | 13.3インチ |
OS | Windows11 |
CPU | Intel™ Core i7 1165G7 |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 256GB(SSD) |
価格 | 105,380円(メーカー直販、税込み、送料込み 2022/3/15時点) |
販売先 | メーカー直販 |
どうしても国内メーカーにこだわりたいという方もいらっしゃると思いますので、こちらをご紹介しておきます。dynabook は元々は東芝のPC部門が独立した会社ですが、現在はシャープの100%子会社となっています。シャープ自体も台湾のフォックスコングループの子会社ですので前述のNEC、富士通のPC部門同様に厳密に国内メーカーと呼べるかは微妙ですが…
今回ご紹介の中では唯一の13インチサイズで軽量です。CPUスコアは前述の2台からは落ちますがIntelにこだわりがあるのなら悪い選択ではないと思います。メモリは交換できないタイプのようですので必要であれば最初から16GBのメモリ搭載のものを選ぶことになります。価格的に若干割高には感じます。
非常に長い文章になってしまいましたがあくまで私見ですのでご参考になれば幸いです。ちなみにご紹介したPCはメーカー等からの広告費等は一切頂いておりません。
コメント